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最近の森村

2019.04.07 最近の森村

第107期生 入学式式辞

今日のよき日に、多くのご来賓、並びに保護者の皆様のご臨席を賜り、厚く御礼申し上げます。ただ今ご紹介にあずかりました、校長の江川昭夫と申します。

本日、入学を許可されました中等部204名の新入生、保護者の皆様、ご入学誠におめでとうございます。数多い私立学校の中から、本校を選んでいただきましたことを、まずは感謝申し上げたいと思います。日本は5月から令和となり、特別な春を迎えますが、森村学園もまた、まさに、皆さんと一緒に新しい時代を迎えます。私たち教職員は、ある時はみなさんの背中を押し、ある時は併走しながら、共に成長していきたいと思っています。どうか、安心して森村学園の学校生活を送って欲しいと思っています。

私は、24年前の阪神淡路大震災、8年前の東日本大震災を経験して、「どんな状況でも自分で考えて問題を解決し、未来を託せる子どもを育てる」という信念を持ちました。この想いが今の私の教師生活の礎(いしずえ)になっています。

本日は、皆さんに、「精神一到(いっとう)何事か成らざらん」ということわざを贈りたいと思います。「意志のある所には道がある」”Where there is a will, there is a way.”「やろうとする意志があればそれをする方法はあるものだ」という意味です。この言葉を覚えていただき、様々な局面で、わからない、などと言わずに、何か方法を見つけるようにして欲しいのです。いつも笑顔を忘れずに最後まで諦めずに何でも取り組みましょう。

これは、皆さんの好きな人、尊敬する人を思い浮かべてみて、「あの人だったらどうするだろう?」と考えてみてもいいかもしれません。皆さんのご家族のどなたかでもいいですし、イチローさん、福原愛さん、羽生結弦さん、浅田真央さんといった、まさに強い意志を持って、それぞれの道を貫いてきたスポーツ選手でもいいでしょう。いつも第一線で活躍している人であっても、必ず行き詰まったり悩んだりしたことがあり、私も、選手たちのインタビュー記事などを読んで、そんな悩みや困難があったのかと驚いたことが何度もあります。だから、皆さんがこれから困ったとき、行き詰まったときに、「こういうとき、僕がイチロー選手だったらどうするだろう?」「浅田真央さんだったらどういう行動を取るのかな?」と想像してみてください。彼らは決して「わからない」「できない」と判断を投げたりはせず、やるべきこと、やれることを見つけて進んでいくでしょう。皆さんが尊敬する人が取るであろう行動は、すべて自分とつながっていますし、やがてそれは「自分だったらこうする」という意志の力に通じていきます。

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さて、皆さんは「グローバリズム」という言葉を聞いたことがあるかと思います。グローバリズムとは、世界の国が、国境の枠を取り払って、みんなで手を取り合って平和を築きましょうという意味です。グローバリズムのおかげで、経済は活性化し、情報伝達もインターネットを通じて20、30年前とは比べものにならないほどに早くなりました。

このようなグローバルな社会が、皆さんがこれから生きていく世界なのです。世界の人たちと手を取り合いながら、より良い社会を創っていかなければいけないのです。

ここで大切なことが3つあります。

1つ目は「英語の力」。英語は実質的に世界の公用語ですから、世界の人たちと意思疎通するためには必要です。だから、森村では英語の勉強に力を入れています。私も、もともと英語の教員でした。どうか英語だけは嫌いにならずに、少しずつでいいので、上達してください。そのためのお手伝いを精一杯おこないたいと思います。

2つ目は、「たくましさ」です。私は長年、高校生や中学生の海外留学プログラムに携わってきました。そして思うことは、真にグローバルな人というのは、「好き嫌いをいわずに何でも食べられて、どこでも寝られる人」なのです。みなさんはこれまで、あたたかいご家族のもと、すくすくと育ってこられました。食べ物や、欲しいものなどで、わがままを聞いてもらってきたかと思います。しかし、これからのグローバルな社会で生きていくには、「何でも食べられて、どこでも寝られる」ような、たくましさが求められます。これは女子も男子も関係がありません。どうか森村で出会った友人たちと切磋琢磨しながら、自分なりのたくましさを身につけてください。

最後の3つ目は、「寛容の心」です。「寛容」とは何か。それは、心を広く持って人の言葉や行動を受け入れることです。世界には様々な文化や価値観があります。自分の価値観とは違うからと、他の国や人々の価値観を踏みにじるようなことがあってはなりません。今日から中学生になった皆さんにやっていただきたいのは、まずお友達が自分とは違う人間であり、違う価値観やバックボーンを持つ人だということを認め、それを尊重しあう「寛容」の気持ちを持つことです。これが、グローバル社会に生きていく皆さんの、大人への第1歩です。 

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さて、今まで私が申し上げてきたことは、実は、森村学園の創立者である実業家・森村市左衛門先生が明治時代にすでに考えてきたことです。市左衛門先生は未来を見据えて、どんな状況でも自分で考えて課題を解決でき、自らの道を切り拓いていき、未来を託せる生徒の育成を目指して、この学園を創りました。

森村の校訓「正直・親切・勤勉」は「人徳を備え、自らの力で人生を切り拓き、世界の力、社会の力となる人材の育成」の行動指針となっています。今、忘れられがちな「人徳」も大切な要素になっていること忘れないでください。森村の教育は「今後の社会で幸せに生きていって欲しい」という願いのもとにできています。校訓はみなさんが愛に満ちた社会を作ろうとするときの合言葉です。それらの合言葉を胸に、未来の社会に対応できる、「学び続ける力」を身につけて欲しいのです。

ますます加速していくグローバル社会で大切なことは、すでに建学の精神の中に書かれています。幸い、森村では創立者の思いに触れる機会がたくさんあり、そこには人類の知恵が詰まっていると言っても過言ではありません。そこから、多くのことを学んでほしいと思います。

保護者の皆様、「森村学園の行動指針は 正直 親切 勤勉」「森村学園の建学の精神は 独立自営」です。それらのもと、これからの世界で生き抜く力を身につけてもらうため、さまざまな取組みを実施してまいります。これらはご家庭のご理解とご協力なくしては成り立ちません。教職員一同、精一杯、お子様の指導にあたり、努力いたします。何卒、ご理解・ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。6年後、「この学園を選んでよかった」と言っていただける学園であるよう、誠心誠意、努めさせていただきます。

終わりに、新入生のみなさんの充実した学園生活を願って、式辞といたします。

新入生のみなさん、保護者のみなさま、ご入学、誠におめでとうございます。